長府製作所の井戸水対応エコキュート

お客様からよく「うちは井戸水だけどエコキュートは使えますか?」と質問を受けます。

以前は以下のような理由で井戸水でのエコキュートの使用はお断りしてきました。

 

約9年前に「井戸水対応エコキュート」をいち早く日立がラインアップしました。(下図)

 

タンクの水の入替を極力減らす事で熱交換機へのスケールの堆積を抑えるといった構成です。

エコキュートでガス給湯器並みの直圧給湯を実現しようとした「ナイアガラ出湯」の副産物なのかもしれません。

けれどタンクの水の入替を極力減らすとはいえ、膨張水が排出された量だけは確実に水がタンクに入ってきますし、タンクの湯と水との熱交換の効率は追焚だけならまだしもボイラーのバーナーと水ほどの温度差が無いためにあまり良さそうには思えません。ので、弊社では採用例はありません。

ところが、2年前に長府製作所から新しい発想の井戸水用エコキュートが登場しました。

一見従来機種と同じに見えますが、「特殊システム」を追加して井戸水内の石灰成分の熱交換器や配管への堆積を抑制しているとの事です。

 

写真の中央に写っているフィルター状のものが「特殊システム」の部品です。


部品図で確認すると従来機種との変更部分は給水口からタンクにつながるこの箇所だけです。

 

65番の部品は部品表では「水処理システム」となっています。

内部には写真の様な大小様々なサイズのセラミックボールが入っています。

 

様々な大きさのセラミックボールが水の勢いで衝突し、水とスケール分をプラス帯電させ、互いが反発しあうことで堆積を抑制させる仕組みとの事です。


 

気になる製品保証は以下の様になっています。

井戸水なら何でも良いわけではなく、少なくとも水道法の飲用水水質基準に達していないと詰まりに対する3年間無償保証の対象外になってしまうみたいです。

 

長府製作所は製品化する前に地下水に石灰成分が非常に多く、ボイラーでさえ配管が詰まってしまう事が多い山口県美祢市で数年実証実験を繰り返していたとの事です。

スケール分が堆積されにくいということは当然他の給湯配管や蛇口等にも良い影響を及ぼすとも言えるでしょう。

気を付けなければいけないのは、このシステムは鉄分には効果が薄いので、その場合は使用を見合わせた方が良いだろうとの事でした。

2019年07月23日